街中ですれ違った人からふっと風に乗って香ってくる良い香りに思わず振り返ってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。

行く場所や、纏いたい雰囲気に合わせて上手にフレグランスを使っている人はとてもエレガントで素敵ですよね。

今では当たり前に使っているフレグランス、女性が纏う香りには時代を象徴するメッセージが込められています。

フレグランスは一体どのようにしてその歴史をスタートさせたのか、その歴史を紐解くとともに、香りの系統別におすすめのフレグランスをご紹介します。

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フレグランスの歴史

フレグランスの歴史

現在ではオシャレやファッションの一部として使用されることが多い香水ですが、古代エジプトではミイラの防腐剤に使用するなど、香りの使用用途は薬品に近い位置にあったとされています。

現在のように液体の中に香料を入れてフレグランスとして広く使われるようになったのは、いつ頃からなのでしょうか。

フレグランスの始まりは14世紀から

今のフレグランスの原型の一つと言われているのが、ハンガリー王妃であるエリザベート1世に捧げられた「ハンガリアンウォーター」と呼ばれるものです。

このハンガリアンウォーターはローズマリーをアルコールで蒸留したもので、当時はフレグランスとしてではなく、王妃の持病であるリウマチの痛みを和らげる目的で捧げられたものでした。

このハンガリアンウォーターを入浴や洗顔、あらゆるところで使用したところリウマチが治ったうえに、72歳という年齢ながら若さまでも取り戻し、ポーランド国王からプロポーズされた、という伝説まであるため、別名「若返りの水」とも言われています。

ナポレオン1世が愛したフレグランス「ケルンの水」

18世紀末から19世紀に活躍したナポレオン1世、彼が使用していたフレグランスが世界最古のフレグランスと言われています。

ドイツのケルンで発売されたため「ケルンの水」とも言われており、17世紀後半にイタリア人の理髪師であるフェミニスによって作られたとされています。

フランス語読みでオーデコロンとも呼ばれます。

ナポレオン1世はレモンやベルガモット、ビターオレンジなどが入ったこの華やかで爽やかな香りを大変好み愛用していたようですが、ナポレオン1世の妻であるジョセフィーヌは爽やかな香りとは反対にムスクなどのもったりとした動物性香料を好み、この香りの嗜好の違いは夫婦仲にまで影響を与えたというエピソードが残っています。

19~20世紀にはゲランやシャネルの香水が発売

19~20世紀にはゲランやシャネルの香水が発売

19世紀になると科学技術が発達したことで植物の香りを人工的に作った合成香料が生まれ、ここから香水が広く親しまれる時代が始まります。

1889年にはゲランから世界で初めての合成香料を使用した「ジッキー」が、1921年にはシャネルから合成香料アルデヒドが入ったNo.5が発売され話題になりました。

いまなお語る継がれる名香が生まれたのは、上質な天然香料と新しい合成香料の融合によってでした。

1970年代~現在までの移り変わり

その時代時代で女性の在り方が変わることによって、時代を象徴する香りも同じように変化してきました。

1970年代~現在までの移り変わり

<1960年代>
1960年代には女性にはエレガントさが求められ、上品で優しく包み込むようなゲランから発売された「ミツコ」のような
パウダリーな香りが好まれるようになりました。

<1970年代>
1970年代には女性は家庭の中だけではなく社会に出ていくようになります。

男女平等を求める運動がアメリカから広まると、女性が纏う香りもパウダリーなものではなく、女性の意志の強さを感じさせるすっきりとした香りが好まれるようになります。

1970年に発売されたシャネルのNo.19はまさに時代を象徴するような香り、この香水の発売数週間後にシャネルは永眠しました。

<1980年代>
女性を取り巻く環境が変わっていく中で、女性が自分自身で自由を選べる時代になり、女性の在り方自体が香りにも影響していきます。

この時代に発売されたフレグランスにはクリスチャン・ディオールから発売されたプワゾン、イヴ・サン・ローランのオピウムなど刺激的な名前の甘く自由な香りと、反対にイヴ・サン・ローランからはフェミニンな香りが特徴的なパリなどの女性らしい香りが発売されていました。

<1990年代>
この時代にはまた新しい香りが台頭してきます。

刺激的な時代を生き抜いてきたのちに求められたのは癒しの香り、この時代にはカルバン・クラインのエスケープやCKOneなどが大流行しました。

優しいメッセージ性とともにユニセックスでも使用できる香りは、性を超越し、自由になったことが香りでも象徴されています。

<2000年代~現代>
現代ではそれぞれの個性を自由に発揮できる時代となりました。

一つのフレグランスが爆発的にヒットする、ということが昔に比べ少なくなり、女性も男性もそれぞれ自分に似合ったものを選ぶようになってきました。

時代の移り変わりによってフレグランスの在り方も変わる、時代背景からフレグランスを見るとその時代にぴったりな香りが生み出されていることに気づきます。

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フレグランスの基礎知識

フレグランスの基礎知識

私たちに常に寄り添ってくれるフレグランス、その香りは様々な効果を私たちにもたらしてくれます。

ここでは使われる香料の種類や、フレグランスの呼び方の違いなどの基礎的な部分をお伝えします。

フレグランスに使われる香料の種類

フレグランスの材料には自然由来の天然の香料と化学的に作られた合成の香料が使われています。

天然の香料には動物性の香料と植物性の香料がありますが、天然であるがゆえに収穫量などがその時の天候や環境に左右され安定しなかったり、香りの抽出に手間がかかる、その上希少なものもあるのでその分高価になります。

化学的に作られる合成香料には単離香料と石油系原料をベースとした合成香料があり、天然香料とは別に合成で作られるので供給は安定しており、同じ香りを多く生産することもできて値段も天然香料と比べて安価です。

<天然香料の種類>
動物性香料…ムスク(ジャコウジカの分泌物)・アンバーグリス(マッコウクジラの胆石)など
植物性香料…ローズ・ジャスミンなど

<合成香料の種類>
単離香料…天然香料に含まれる香りの成分を化学的に抽出したもの
石油系原料の合成香料…人工的に化学物質を合成した香料

天然香料で作られた香水は香りの持続時間が短いですが、合成香料で作られた香水は香りの持続時間が長くなります。

貴族や一部の特権階級だけが楽しめたフレグランスが現代のように多くの人が楽しめるようになったのは人工香料のおかげでもあります。

マリリン・モンローのセリフでも有名なシャネルのNO.5、このフレグランスには合成香料アルデヒドが使われたことでも話題を集めました。

パルファンやオードトワレ、呼び方の違い

同じフレグランスなのに、オードパルファン、オードトワレ、など呼び方が違うものがあります。

なぜ同じフレグランスなのに呼び方が違うものがあるのでしょうか?

それは、そのフレグランスに含まれる香料の濃度の違いによって、香る時間や香りの強さが違うためです。

それぞれの香料の濃度と特徴を見ていきましょう。

<オーデコロン>
濃度5%ほどの、とてもライトな付け心地のフレグランス。

場所を選ばすに全身に使用することができず、香りの持続性も高くないため寝る前など香りを纏いたいけど香りに邪魔をされたくないときなどにも使いやすいフレグランスです。

<オードトワレ>
濃度6~10%ほどのフレグランス。

フランス語でオードは水、トワレは化粧を表すため、そのまま訳すると化粧水という意味になります。

その名前の通り化粧水のように普段から使うのに使いやすいフレグランスになります。

特に日本は気候的に湿度が高いので軽めのオードトワレとはとても相性が良いのです。

<オードパルファン>
濃度11~15%のフレグランス。

オードトワレと同じようにオードがついていますが、香りの強さや持続性がトワレよりも長く強いフレグランスです。

トワレでは物足りない、さらにしっかりと香りを纏いたい場合にはこちらのオーデパルファンを使用するのが良いでしょう。

<パルファン>
濃度15~30%のフレグランス。

パルファムや香水などと呼ばれ、同じシリーズでもパルファンにはより上質な香料を使うことも少なくありません。

香りは濃厚で持続時間も長いためパーティなどのフォーマルシチュエーションにおすすめです。

とても香りが強いので面で多くつけるのではなく、点でつけて香らせるとエレガントに香りを纏うことができます。

フレグランスのノートって?

フレグランスにはトップノートミドルノート(ハートノート)ラストノート(ベースノート)と、3つのノートがあり、これはそれぞれの香りが気化して香る順番を表しています。

19世紀フランスにおいて、調香師であるピエッスが香りを音階に例えて設定しました。

一番最初に香るのはトップノート、それからミドル、ラストと変わっていきます。

ラストノートが一番長く香りを楽しめる部分ですが、フレグランスの本当の香りはミドルノートとされています。

トップノートは20分~30分、ミドルノートは1時間~4時間、ラストノートは6時間~48時間で香ります。

フレグランスのつけ方

フレグランスのつけ方

普段なにげなくつけているフレグランスですが、その付け方を意識することはあるでしょうか?

フレグランスのつけ方には必ずこうしなきゃいけない、といった決まりはありませんが上手に香るつけ方、というのは存在します。

ここでは上手なフレグランスのつけ方をご紹介します。

パルファンは点でつける

最も香りが濃く、長時間香りが残るパルファンは脈打つところに点でつけるのがポイントです。

脈打つところにつけるのは、体温が高くなり香りが自然と広がってくれるためです。

手首や首筋などにつけるのがおすすめですが、付けた後に香りを移そうと思いこすってしまうことはありませんか?

こすってしまうと香りが壊れ、香り本来が持つ自然ないい香りが失われてしまいます。

点でつけたらそのまま自然乾燥をさせるか、香りを移したい場合はこすらずにちょんちょんとそっと添わせるようにつけるのが良いでしょう。

フレグランスのカーテンをくぐるように

フレグランスを空中に数プッシュしてその下をくぐるようにつける付け方です。

オードトワレやオードパルファンなどはこの付け方でつけるとつけすぎを防ぐこともできてナチュラルに香りを楽しむことができます。

プッシュする回数を調節することで普段使いからパーティなどの華やかな場所で使うときまで自在に香りを操ることができますよ!

肌ではなく服につける

パルファンのつけ方とは逆のつけ方になります。

直接肌につけると体臭と交じり合った香りになり、それが不快な香りの元になってしまう可能性もあります。

それを防ぐためには肌に直接つけるのではなく、洋服につけて香りを楽しむ方法があります。

また洋服にレイヤーでつけることで香り同士も直接交じり合うことなく、空気を通して香りを感じることができるようになります。

特に、コットン系の香りやナチュラル系のフレグランスの場合におすすめのつけ方です。

セクシーなつけかた

番外編のつけ方として、セクシーな香りの纏い方もご紹介いたします。

それは、フレグランスをコットンなどに染みこませ、ブラジャーなどの下着に忍ばせて香らせる方法です。

この付け方をすると、距離が近くならないと香りが分からないようになりますが、それこそがポイント。

歩く度にふんわり香るつけ方もキレイですが、お互いに距離が近くならないと相手の香りが分からない、というのは二人の特別な関係を思わせる付け方です。

自分だけが自分の香りを知っている、というのも秘密を感じさせてセクシーですよね。

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香り別、おすすめのフレグランス

フレグランスと一口に言っても、その香りはそれぞれに違った個性を持っています。

ご自分に似合う香りを見つけるためにも自分の好きな香りがどのような系統にるのか知ることはとても大切です。

ここでは系統別におすすめのフレグランスをいくつかご紹介いたします。

グルマン系のフレグランス

お砂糖を鍋でくつくつと煮たような、ビスケットやクッキーなどのお菓子を思わせるような甘い香りが特徴のグルマン系。

もったりとした重みのある香りなので、秋冬の寒い季節にぴったりです。

ジルスチュアート ヴァニララスト

まさにヴァニラの香りそのままなジルスチュアートのヴァニララストはお菓子のような少女を思わせる甘い香りが特徴的です。

暖かい家の中で作るケーキに入れる香り付けのヴァニラエッセンスのような雰囲気のフレグランスです。

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プラダキャンディ

プラダキャンディ

甘さの中に少し苦みを感じる香りが特徴的なプラダのキャンディ。

ただ甘いだけではない少しだけ毒を含んだような小悪魔的な香りがする香りです。

グルマン系をつけたいけど、お菓子のような可愛らしさだけではない、そんな香りが好きな方におすすめです。

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フローラル系

花束を持っているかのような芳醇な花々の香りが特徴的なフローラル系のフレグランス。

ローズやジャスミン、百合など使っている花はそれぞれ違いますが、どの香りもつけるとそばにその花ががあるような幸せな気持ちになれる香りたちです。

シャネル ココ マドモアゼル オードゥパルファム

シャネルココマドモアゼルオードゥパルファム
数々の名香を生み出しているシャネルならではの甘く強く香るココマドモアゼル。

フローラル系ではありますが、インド産のハッカ成分を香水に加えるなどユニークな香料を香水に使うことで、ただのフローラルではない香りを生み出しました。

ベルガモットやオレンジなどの柑橘系とジャスミンなどのフローラル系の香りが絶妙なバランスで配合されています。

クリスチャン ディオール ミスディオール ブルーミングブーケ EDT

クリスチャン ディオール ミスディオール ブルーミングブーケ EDT
リボンがあしらわれたボトルが乙女心をくすぐるディオールのミスディオールブルーミングブーケは香りもボトルそのままの可愛らしい女性を表現した香りになっています。

幸せを呼ぶフレグランスとも呼ばれ、ベルガモットやマンダリンからピオニーやローズ、そしてラストのムスクへと移り変わる香りはモダンで美しい香りです。

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アロマ系

天然香料を用いたナチュラルな香りが人気のアロマ系フレグランス。
持続時間は合成香料を使用したものに比べて圧倒的に短いですが、自然の香りそのままを楽しみたい方におすすめのフレグランスです。

テラクオーレダマスクローズ

テラクオーレオードトワレダマスクローズ

ラグジュアリーなオーガニックコスメとして有名なイタリアのテラクオーレから出ているダマスクローズの香りは、天然の香料のみで作られているピュアで透明感のある香りを楽しめる香水として人気があります。

天然の香料のみで作られているので持続性はあまりないですが、その分重ね付けしても香りが重たくならないので使いやすいです。

ニールズヤード レメディーズ オードパルファン ローズ

ニールズヤード レメディーズ オードパルファン ローズ

こちらはイギリスのオーガニックブランド、ニールズヤードレメディーズは精油を使ったことはある、という方もいるかもしれません。

100%天然のエッセンシャルオイルのみで作られたローズの香水はナチュラルで美しく香りが変化していきます。

本来の香りが香るミドルノートはローズとゼラニウムの組み合わせで配合されており、優雅な香りを楽しむことができます。

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シプレ系

シプレ系、この香りはオークモス(オークの木の苔)を使用したまるで森林浴をしているかのような香りをしています。

柑橘系などの香料を混ぜられることが多いですが、その香りはエレガントで格調高い上品な装いにぴったりです。

ゲランミツコ オードパルファム スプレー

ゲランミツコ オードパルファム

実在の伯爵夫人の名前がついたゲランの名香ミツコ。

日本人女性の慎ましくもしなやかな神秘的な華やかさを表現した香りです。

華やかなフローラルとピーチをベースにスパイシーな香りが混ざり合い奥深い香りに魅了されます。

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フェラガモ シニョリーナ エレガンツァ オーデパルファム

フェラガモ シニョリーナ エレガンツァ オーデパルファム

サルバトーレフェラガモの香水は、まさにエレガンスを体現した優雅で魅惑的な香りを楽しむことができます。

爽やかながらも甘さを持つグレープフルーツと洋ナシの香りからアーモンドと金木犀が持つ甘やかな香りと混ざり合い、最後にはパチョリとホワイトムスクで完成するこの香りは女性でいることの喜びを思い出させてくれる香りです。

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まとめ

フレグランスまとめ

フレグランスの起源から、フレグランスを纏う上で知っておきたい基礎知識、そして現代にいたるまでのフレグランスの移り変わりを見てきました。

香りは自分自身の纏う世界観を表現するのにぴったりなアイテムです。

使用する場所、コーディネートする洋服やメイク、自分自身を表現する手段の一つとして上手にフレグランスを取り入れてみてくださいね。

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