セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれるもので、心の安定や質の良い睡眠に不可欠なホルモンです。
不規則な生活やストレス、偏食などでセロトニンの分泌量が減ってしまうと不眠や気分の落ち込みなどの症状が起きてきます。
セロトニンは生活習慣の見直しやちょっとした習慣で増やすことができます。
ここではセロトニンを増やす「食べ物」や生活習慣、サプリや漢方薬について解説したいと思います。
目次
セロトニンとは?不足するとどうなる?
睡眠や幸福感と関係が深いといわれるセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれ情緒の安定や良い眠りを得るために必要なホルモンです。
最近では昼夜逆転の生活や食習慣の乱れなどからセロトニンが不足して、うつ症状や不眠に悩む人が増えています。
セロトニンとは?
セロトニンは神経伝達物質のひとつで、腸内に90%、血液中に8%、そして脳内に2%の割合で存在しています。
脳内にはたった2%ですが、このわずか2%のセロトニンが人の心の安定や幸福感に大きく関係しているといわれています。
セロトニンは目覚める時に「気持ちよく目覚めやすい」心身の状態に移行する役割もありますが、起きている時に「適度な覚醒状態」を保つという重要な働きもあります。
興奮しすぎることなく、心身の活動状態が停滞することもない「安定して適度に活動状態にある」というバランスを保つ役割があります。
そして、その働きは「体」と「心」の両面に働きます。自律神経を調整して血圧・体温・呼吸を安定させ、感情も穏やかに落ち着かせてくれます。
セロトニンが十分な量分泌されていれば、良い睡眠を得られ気力も充実していられるのです。
不足すると?
セロトニンの分泌が不足してくると、色々な症状が出てきます。例えば「朝スッキリと目が覚めない」「寝つきが悪くなる」「不安を感じやすくなる」「怒りっぽくなる」「無気力になる」などです。
「寝つきが悪くなる」のは、寝つきに関わる「メラトニン」というものがセロトニンを素に作られるので、セロトニンが不足すると同時にメラトニンも不足状態になるからです。
セロトニンの不足は運動不足、日光不足、睡眠不足、栄養不足、ストレスなどの原因で起こります。
次にセロトニンが不足している場合、どのようにして増やしたら良いのかを生活習慣から見ていきましょう。
セロトニンを増やすには
セロトニンを増やすには、「昼間は起きて適度な活動をして、夜は眠る」「セロトニンの材料になる食べ物を十分食べる」「脳のセロトニン神経を鍛える」ということを意識して生活することが大切です。
「セロトニン神経」というのは、脳のほぼ真ん中に位置している数万個の神経で、心と体のバランスに深く関わる神経です。
このセロトニン神経が情報を運ぶために必要なのが「セロトニン」なんです。
規則正しい生活
セロトニンは太陽が出ている時間帯に分泌されやすい事がわかっています。
そのため、昼と夜が逆転したような不自然な生活を長く続けているとセロトニン不足になりやすくなります。
セロトニンを増やすためには、朝起きて昼間は活動をし、夜になったら眠るという本来の人間の自然な生活リズムで暮らすことが大切です。
質の良い睡眠
朝スッキリと起き、昼間十分な活動をするためには質の良い睡眠は欠かせません。
昼間の活動が不十分でセロトニンの分泌量が減るとセロトニンから作られる「睡眠ホルモン」のメラトニンも減ってしまうので「セロトニン不足→メラトニン不足→良い睡眠を得られない」という悪循環になりやすくなります。
適度な運動
ウォーキングやスクワットなどの一定のリズムを刻む運動はセロトニン神経を活性化させるといわれています。
他には「階段の上り下り」や「ゆるめのダンス」などを一回に5分以上、できるだけ長期間続けるのが良いといわれています。
そして適度な運動をすることで、寝つきも良くなる効果も期待できます。
日光を浴びる
夜眠っている間は「睡眠ホルモン・メラトニン」が分泌されやすい状態になっています。
セロトニンを増やしたいなら、朝目覚めた時にカーテンなどを開けて朝日を浴びると良いといわれています。
日光にはメラトニンの分泌を止める働きがあり、朝陽の光を浴びることで体がリセットされてセロトニンの分泌が促されます。
バランスの良い食事
セロトニンを増やすためには、セロトニンを体の中で作るための材料になる栄養素が必要です。
食事でセロトニンの材料になる食べ物を意識して摂り、その他の生活習慣を整えるとセロトニンの分泌は増え、セロトニン神経も鍛えることができます。
セロトニンを増やす食べ物
セロトニンはアミノ酸のひとつである「トリプトファン」から作られます。
トリプトファンは身近な多くの食材に含まれている栄養素です。
そして、トリプトファンは単体ではなかなか効率よくセロトニンを増やせません。他の栄養素もいっしょに摂ることで効率的にセロトニンを増やしましょう。
では、トリプトファンを多く含んだ食材と一緒に摂ると良いといわれる炭水化物などの他の栄養素について説明します。
トリプトファン
トリプトファンは「牛乳」「アーモンド」「すじこ」などに豊富に含まれています。
乳製品や大豆製品、ナッツ類全般に多く含まれています。その他、肉類、胚芽、卵、バナナなども含有量が多い食材です。
バナナと乳製品の組み合わせや、肉・魚料理とナッツ類の組み合わせはおすすめです。
炭水化物を一緒に
トリプトファンは単体でセロトニンを効率よく作ることはできません。
ビタミンB群や炭水化物など、他の栄養素があってはじめて効率的にセロトニンが生成されます。
トリプトファンというと、よく「バナナ」がおすすめの食材として取り上げられますが、それはバナナがトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物をすべて含んでいるので、バナナのトリプトファン含有量というよりもセロトニンを効率的に作るという理由でそう言われるのだと思います。
セロトニンを増やすサプリメント
トリプトファンは一日に500mg程度摂ると良いといわれています。
たんぱく質、ビタミン類、炭水化物など普段バランスがとれた食事を食べていればあまり不足することはありません。
ただ、極端に食事内容が偏ってしまった時や、不眠に悩む時には一時的にサプリメントのちからをかりるのも一つの方法だと思います。
その時もトリプトファンだけではなく、セロトニンを作るための他の栄養素も摂るようにしましょう。
トリプトファンの過剰摂取は体に悪い影響をもたらす事があります。トリプトファンを摂りすぎて「白血球の一種である好酸球増加」や「筋痛症候群」といわれるような症状を多数の人が起こした例があります。
トリプトファンはサプリメントとしても販売されていますが、あくまでも緊急時の補助的な使い方が望ましいと思います。できるだけ、食品から摂ることをおすすめします。
セロトニンを増やす漢方はある?
いろいろな理由からセロトニンの生成が少ない状態にある時、「抑肝散」という漢方薬が睡眠の改善やうつ症状の改善に効果が期待され同時にセロトニンの分泌量も改善されたという報告があります。
もともと「抑肝散」はうつ症状に処方される漢方薬ですが、うつ症状が改善されて質の良い睡眠が得られるようになったことでセロトニンの分泌も正常に働くようになったとも考えられます。
漢方は人によって「合う」「合わない」と相性がはっきりしているのが特徴で、体質に合わないと思わぬ体調不良を起こすこともあります。
抑肝散の副作用の報告例では、「血圧上昇」「脱力感」「肝機能障害」「発熱」「息切れ」などがあります。
もし、いつもと少しでも体調が違うと感じたら服用を中止して医師に相談しましょう。
セロトニンを増やすには生活改善から
ここまでセロトニンとは何か?セロトニンを増やす食べ物や方法などを見てきました。
セロトニンは基本的には規則正しい生活や適度な運動、バランスの取れた食事などの生活習慣が良いものなら不足することはありません。
サプリメントや漢方薬などの方法もありますが、できれば日頃の生活習慣を見直すことでセロトニンを増やしましょう。
こちらの記事はセロトニンと深い関係にある「睡眠」や「快眠グッズ」について書かれた記事です。合わせてお読みください。
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