子供同士の喧嘩が、怪我を負う(負わせる)等の事態に発展した場合、親たちはどのように関与・介入すべきだと思いますか。
かつて、筆者が勤めていた会社の先輩Mさん(以下、M先輩)のエピソードをお話しします。
M先輩は、一児の母です。
学生時代から仲の良い友人Aさんと、お互いに子供を連れてママ会を開いたときのことでした。
M先輩とAさんの子供には年齢差があり、当時、M先輩の子供は1~2歳だったのに対し、Aさんの子供は4~5歳。
目の届く場所で子供を遊ばせながら、親同士の会話を楽しんでいたところ、突然、異様な物音とともに、M先輩の子供の泣き叫ぶ声が部屋中に響き渡りました。
なんと、Aさんの子供が、M先輩の子供を突き飛ばしてしまったのです。
子供同士の喧嘩とはいえ、3歳も違えば、身体の大きさや力の程度にかなりの差がありますし、ましてや1~2歳の幼い子供が相手となれば、なおさら一目瞭然です。
M先輩の子供の身体は、数メートルほど飛ばされたものの、幸い、大きな怪我はありませんでした。
Aさんは、M先輩に「ごめんなさい」と即座に謝罪し、子供にも促しましたが、結局その子は一言も謝罪をしませんでした。
突き飛ばしたことが、わざとだったのか、うっかりだったのか、その真意は不明ですが、その子なりの言い分があり、どうしても謝りたくないというのです。
M先輩が一人の親として許せなかったのは、Aさんの帰り際の言葉です。
「さっきは、ごめんなさいね。うちの子、納得できないと謝れないのよ。」
その言葉を許せなかった理由は、M先輩が、‟納得できないと謝れないから仕方ない”ではなく、子供が何か悪いことをしたら、親が子供にそれを納得させることが大事だと考えて、日々、自分の子供にも接しているからです。
M先輩は、Aさんとは今までとても親しい仲だったのに、親同士になると、育児に対するスタンスでこんなにも価値観の相違が生まれるものかと落胆していました。
しかし、自分の子供がよそのお子さんと喧嘩したとき、その喧嘩によって怪我を負わせてしまった場合に、親は、どのように自分の子供に納得させ、相手のお子さんや親御さんに対してどのように謝罪すべきかは、とても難しいところです。
今回は、子供同士の喧嘩をテーマに、親の対応について考えていきます。
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目次
子供同士の喧嘩~怪我をさせたときの親の対応~
子供は、親との関係性の外では、保育園や学校、プレイスペース等のさまざまな場所で、他者との関わりや摩擦があります。
他者との関わりがある以上、他者との間で何らかの摩擦が生じることは避けて通れないでしょう。
子供同士の喧嘩でいえば、暴力を振るってしまうこともあれば、悪気なく怪我をさせてしまう等のトラブルに発展することも、往々にしてあります。
- たとえば……
- 相手から自分の傷つくようなことを言われ、カッとなり手を上げたことで、怪我を負わせてしまった。
- 相手に自分の大事なものを奪われ、それを取り返すために相手を突き飛ばし、怪我を負わせてしまった。
- 相手から嫌がらせを受け、やめてもらいたいがために腕を振り払ったら、その拍子に怪我を負わせてしまった。
上記のようなケースの場合、子供は「そもそも、向こうが悪いんじゃないか」と考え、謝罪することに消極的になりがちです。
しかし、親としては、自分の子供がよそのお子さんに怪我をさせてしまったわけですから、本人(自分の子供)と一緒に、相手のところへ謝罪をしに行きたいものです。
親が謝罪をするときは、怪我をさせるに至った子供同士の事情はどうあれ、相手のお子さんや親御さんに対し、誠意を持って対応することが肝要だと思います。
怪我の程度が大きいと思われる場合は、治療費の負担も視野に入れて、病院を受診されることをお願いしましょう。
謝罪の場では、相手の親御さんに「子供の怪我なんてよくあることですから」等と許してもらえたとしても、後日、怪我の症状が悪化した場合に深刻な責任問題となります。
子供同士の喧嘩~子供の怪我は日常茶飯事~
子供の怪我は、よくあることです。
遊びやスポーツの中で身体にアザを作ったり、衝突や転倒をして、肘や膝を擦りむいたり等は日常茶飯事でしょう。
そして、親は、常に子供の行動を監視できるわけではないので、どのようなシチュエーションやタイミングで、怪我を負った(負わせた)のかは、わかりません。
また、子供は、親に対し、自分の不利になるような事柄は伏せて話す傾向もあるといわれています。
親の目が届かないところで、子供が怪我を負った場合、その怪我の程度によっては「お互いさま」だという考えを持つことも、心の余裕として必要かもしれません。
しかし、逆に、怪我を負わせた側の子供の親が「お互いさま」などと言ってしまっては、ただの開き直りのように聞こえてしまいます。
自分の子供に、なぜ怪我を負わせてしまったのかを確認し、「人に怪我をさせること=悪いこと」と理解させる必要があります。
子供に「人に怪我をさせること=悪いこと」と理解させる
雪国育ちの筆者が幼少の頃、冬の季節は、子供同士で雪玉を投げ合って遊ぶこと(いわゆる雪合戦)がよくあったのですが、まるで石のようにカチコチに凍った雪玉や、中に氷を仕込んだ雪玉を投げてくる男子がいました。
凍った雪玉や氷入りの雪玉は、身体に当たるだけでもなかなか痛いのですが、顔面を狙われ、かすめたときはさすがに恐怖を覚えたものです。
顔面に命中すれば、こぶができたり、数センチほど切れて出血したりすることもありますし、眼を負傷すれば視力に影響が及ぶこともあります。
雪玉に続き「雪国あるある」でいえば、氷柱(つらら)です。
積雪地帯における‟つらら”は、毎年あちこちに見られるポピュラーな自然現象です。
積もった雪がとけて、その水滴が徐々に凍り、柱状の氷となったものをいいます。
大きなものは1メートルほどにもなり、非常に硬いうえに先が尖っているので、屋根に垂れ下がってできた‟つらら”で窓ガラスが割れてしまうこともあります。
この‟つらら”を用いて、時代劇の殺陣を真似るかのように、ちゃんばらごっこをする子供もいました(先に折れた方の負けという遊びです)。
子供の氷ちゃんばらは、雪国の微笑ましい光景ともいえますが、実は、遊び方を一歩間違えると非常に危険な行為です。
雪玉や‟つらら”は、子供にとって遊具でありながら、ときに凶器となるのです。
このように凶器となりうるものを使って遊んでいたり、一歩間違えれば危険だと思われる遊び方をしている最中、お友達に怪我を負わせてしまったのであれば、次の事柄を子供に問いかけてはいかがでしょうか。
- なぜ、怪我をさせてしまったのか
- どういったものや行動が「危ない」と思うか
- 危ないと思われるもの(行動)を人に向けたらどうなるのか
- 怪我をさせることを予想できなかったか等
上記の事柄を問いかけながら、子供に「人に怪我をさせること=悪いこと」ということを理解させるのです。
同時に、子供に「悪いことをしたら相手に謝る」ということも納得させ、怪我をさせてしまったお子さんに対し、やはり子供自身にも誠意を持って謝罪させることが大切でしょう。
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子供同士の喧嘩~自分の子供への親の対応~
子供同士の喧嘩によって、誰かに怪我を負わせてしまい、親が関与・介入する事態となったとき、相手のお子さんやその親御さんに対してではなく、‟自分の子供に対して”、どのように接しますか。
つい、カッとなって感情的に、ときには威圧的に、接していませんか。
子供の心は繊細です。頭ごなしに叱ってしまうことで、子供の心を傷つけかねません。
また、「お母さん(またはお父さん)は、自分を信じてくれないんだ」、「自分の味方になってくれないんだ」等と思い込み、親から心が離れてしまうこともあるでしょう。
そのように考えると、叱りにくいなと思われるかもしれませんが、だからといって「叱らない」という選択をするのは、もってのほかです。
叱ることと、怒ることは違います。
怒ることは、誰かのためではなく自分自身のための行動です。
子供のためを想えば、厳しいことを話すときこそ優しく、子供が受け止めやすいような言葉と、諭すような気持ちで叱ることが大事だと思います。
最後に
以上、子供同士の喧嘩で怪我をさせてしまったときの、親の対応についてお話ししました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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mackie
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